カルタ1: 「音の名前」から「形」を探す瞬発力トレーニング
日本の伝統的な遊び「カルタ」は、読み札(音声情報)を聞いて、取り札(視覚情報)を素早く探すゲームです。
この仕組みは、実は言語学習において非常に理にかなったトレーニング方法です。
「カルタ1」は、発音記号の名称を聞いて(見て)、一覧の中から正しい記号を選び出すアプリです。
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一覧性のメリット:比較して覚える
クイズ形式(4択問題)との最大の違いは、**「すべての選択肢が見えている」**という点です。
画面には多数の発音記号が並んでいます。その中から正解を探す過程で、脳は無意識に他の記号とも比較を行っています。
脳内での処理プロセス
1. お題:「アッシュ(æ)」
2. 探索:「えーっと、アッシュはどれだ...」
3. 比較:「これはə(シュワー)だから違う」「これはɑ(スクリプトa)だから違う」
4. 発見:「あった!これがæだ!」
この「違うものを除外する」プロセスこそが、似たような記号の違いを明確に認識する訓練になります。
「探す」という行為が記憶を強化する
ただ漫然とカードを眺めるのと、目的を持って「探す」のとでは、脳の活性化レベルが違います。
「どこにあるかな?」と能動的に探索することで、集中力が高まり、見つけた時の喜び(アハ体験)が記憶の定着を助けます。
ゲーム感覚でタイムアタックをすれば、さらに集中力が高まります。
効果的な学習の進め方
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全体を眺める(スキャン)
まずは画面全体をざっと見て、どんな記号があるか把握します。「母音はこの辺」「子音はこの辺」と位置関係をなんとなく覚えるのも有効です。
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名称を声に出す
お題の名称(例:Inverted V)が表示されたら、自分でも声に出して読み上げながら探します。視覚・聴覚・発声の3つを連動させます。
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スピードを上げる
慣れてきたら、迷う時間を減らしていきます。名前を見た瞬間に手が動くレベルを目指しましょう。
特に注意すべき「似たもの同士」
一覧で見ると、形が似ている記号がよくわかります。以下のグループは特に注意して見比べてみてください。
- n と ŋ (エング):nの足が伸びた形がエングです。鼻にかかった「ン」の音を表します。
- s と ʃ (エッシュ):sが縦に伸びた形がエッシュです。「シュー」という静かにさせる音です。
- z と ʒ (ヨッド):zの下が伸びた形がヨッドです。テレビの砂嵐のような「ジー」という音です。
【脳科学的アプローチ】「探す」ことが脳に効く理由
カルタ遊びが子供の教育に良いとされるのには、科学的な理由があります。
それは、「ワーキングメモリ(作業記憶)」と「選択的注意」を同時に鍛えられるからです。
「アッシュ」という音を聞いて、その情報を一時的に保持しながら(ワーキングメモリ)、
多数の記号の中から該当するものを探し出し、それ以外を無視する(選択的注意)。
この高度な脳内処理を高速で行うことで、単なる暗記以上の深い学習効果が得られます。
ハイスコアを狙うための「周辺視野」トレーニング
上級者は、一つ一つの札を凝視しません。ぼんやりと全体を眺める「周辺視野」を使っています。
周辺視野を使うと、動いているものや、特定の形(パターン)を瞬時に捉えることができます。
トレーニングのコツ
1. 画面の中央をぼんやり見ます。
2. 「アッシュ」と聞こえたら、視線を動かさずに、視界の隅で「æ」の形を探します。
3. 見つけたら、素早くタップします。
これを繰り返すことで、記号の形が「ゲシュタルト(一つのまとまった形)」として脳に認識されるようになります。
記号の「形」に隠されたヒント
どうしても見つからない時は、記号の形に注目してみましょう。
- 線が伸びている記号:ʃ (縦に長い), ʒ (下に長い), ŋ (右足が長い)
- 回転している記号:ə (eの回転), ɔ (cの回転), ɐ (aの回転)
- 合体している記号:æ (aとe), ʤ (dとʒ), ʧ (tとʃ)
これらの特徴を意識するだけで、探索スピードが格段に上がります。
「長い棒を探そう」「丸いものを探そう」といった具合に、脳に検索フィルターをかけるイメージです。
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