クイズ2: 「音」を聞いて答える実践トレーニング
発音記号の形を覚えたら、次はいよいよ「音」とのマッチングです。
記号はあくまで音を表すための地図記号に過ぎません。実際の音がわからなければ、地図を持っていても目的地(正しい発音)にはたどり着けません。
このアプリ「クイズ2」は、視覚(記号)と聴覚(音声)を統合し、使える知識へと昇華させるためのツールです。
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このアプリの特徴:三位一体の学習
このアプリの最大の特徴は、以下の3つの要素を同時に処理する点にあります。
- 音声を聞く:ネイティブスピーカーによる正確な発音が再生されます。
- 記号を見る:画面にその音に対応する発音記号が表示されます。
- 名称を答える:その音と記号の組み合わせが、どの名称(例:ロング・オー)であるかを選びます。
これまでの学習(クイズ1)では「目」と「頭」だけを使っていましたが、ここでは「耳」も使います。
脳の複数の領域を同時に刺激することで、記憶の定着率が飛躍的に向上します。
なぜ「音」を聞くことが重要なのか?
日本語と英語では、音の出し方が根本的に異なります。
例えば、日本語の「ア」に近い音だけでも、英語には æ, ɑ, ʌ, ə など複数の種類があります。
これらをすべてカタカナの「ア」として処理してしまうと、ネイティブには全く違う単語に聞こえてしまいます。
例:Hat(帽子)と Hut(小屋)
・Hat [hæt]:æ(アッシュ)=口を横に開いて「エ」の口で「ア」と言う
・Hut [hʌt]:ʌ(ウェッジ)=口をあまり開けずに短く「ア」と言う
この違いを、文字の説明だけでなく「実際の音」として耳で聞き分ける能力が必要です。
効果的な学習の進め方
このアプリを使う際は、以下の手順を意識してみてください。
- ステップ1:まずは聞く
選択肢を見る前に、流れてくる音に集中します。「あ、これは口を大きく開けているな」「これは喉の奥で鳴っているな」と音の特徴を感じ取ります。
- ステップ2:真似する(シャドーイング)
聞こえた音を、そのまま口に出して真似してみます。自分の出した音と、アプリの音が似ているか確認します。
- ステップ3:答える
最後に正解を選びます。正解したかどうかよりも、「音が聞き取れたか」「正しく発音できたか」を重視してください。
リスニング力向上への架け橋
この「音と記号の一致」ができるようになると、リスニング力が劇的に向上します。
なぜなら、英語の速い会話も、結局はこの一つ一つの「音素(発音記号の音)」の連続だからです。
最小単位である音素を正確に聞き取れるようになれば、それらがつながった単語や文章も、クリアに聞こえるようになります。
「クイズ2」は、単なる暗記テストではありません。あなたの「英語耳」を作るためのトレーニングジムです。
毎日少しずつ、耳を鍛えていきましょう。
【徹底比較】日本人が間違えやすい「音のペア」攻略法
このアプリ「クイズ2」で特に出題される、紛らわしい音の聞き分けポイントを解説します。
これらを聞き分けられるようになれば、リスニング力は飛躍的に向上します。
1. s (エス) vs θ (シータ)
sink (沈む) vs think (考える)
- /s/:日本語の「サ行」に近いです。歯を閉じて、その隙間から鋭く息を出します。
- /θ/:舌先を上下の歯で軽く挟みます。息が舌と歯の間から「スーー」と漏れる音です。音がこもって聞こえるのが特徴です。
2. z (ズィー) vs ð (エズ)
zen (禅) vs then (その時)
- /z/:日本語の「ザ行」に近いです。歯を閉じて強く振動させます。
- /ð/:/θ/と同じ口の形で、声を出します。舌先が振動してくすぐったい感じです。
3. b (ビー) vs v (ヴィー)
best (最高) vs vest (チョッキ)
- /b/:唇を一度しっかり閉じてから、勢いよく「バッ」と破裂させます。
- /v/:上の歯で下唇を軽く噛みます(触れる程度)。その状態で振動させながら「ヴー」と音を出します。
4. l (エル) vs r (アール)
light (光) vs right (右)
- /l/:舌先を上の歯茎(前歯の裏の付け根)にしっかり押し付けます。その状態で声を出し、舌の両脇から息を流します。クリアで明るい音です。
- /r/:舌先を口の中のどこにもつけません。舌全体を奥に引くイメージです。こもったような、唸るような音になります。
5. f (エフ) vs h (エイチ)
food (食べ物) vs hood (フード)
- /f/:/v/の無声音です。上の歯で下唇を軽く噛み、息を強く吹き出します。摩擦音がはっきり聞こえます。
- /h/:日本語の「ハ行」に近いです。口の中をリラックスさせ、喉の奥から息を吐くだけです。摩擦音はありません。
なぜ大人は英語の音が聞こえないのか?
「赤ちゃんの頃は誰でもあらゆる言語の音を聞き分けられる」という話を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、成長するにつれて、脳は母国語(日本語)にない音を「雑音」として処理し、フィルターをかけるようになります。
これを「マグネット効果」と呼びます。近い音(例えばRとL)が、脳内で勝手に日本語の「ラ行」という一つの磁石に吸い寄せられてしまうのです。
このフィルターを解除するには、「意識的なリスニング」が必要です。
ただ聞き流すだけでは、脳はいつまでも日本語のフィルターを通して音を聞き続けます。
「今のは舌を噛んでいる音だ」「これは唇を閉じている音だ」と、理屈と音を結びつけるトレーニングを繰り返すことで、脳に新しい回路(新しい磁石)を作ることができます。
このアプリは、その新しい回路を作るためのドリルです。
最初は違いがわからなくても、諦めずに続けてください。ある日突然、「あ、今の音は違う!」と気づく瞬間が必ず訪れます。
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