「英語が聞き取れない」「通じない」の壁を突破する。
発音記号(IPA)をゲーム感覚で楽しく学べる、9つの無料アプリ集。
多くの英語学習者が直面する「リスニングの壁」や「スピーキングの壁」。その根本的な原因の一つが、正しい発音の知識不足です。 学校教育では、単語の意味や綴りは詳しく習いますが、それぞれの文字が実際にどのような音を持っているか(フォニックスや発音記号)については、十分な時間を割かれないことが多々あります。
その結果、私たちは英単語を「カタカナ」で覚えてしまいがちです。しかし、英語には日本語にはない音がたくさんあります。 例えば、"Right"(右)と "Light"(光)、"Sea"(海)と "She"(彼女)。これらをカタカナで「ライト」「シー」と認識している限り、ネイティブの速い会話を聞き取ることは困難ですし、自分の英語も通じにくくなってしまいます。
発音記号(IPA: International Phonetic Alphabet)は、音を正確に書き表した「音の地図」です。 この地図が読めるようになれば、初めて見る単語でも辞書を引けば正しく発音できるようになります。 耳で聞くだけでなく、目で見て音を理解する。これが、大人が英語の発音を効率よく習得するための最短ルートなのです。
当サイト「Phonics Home」では、難解な発音記号を机上の空論として暗記するのではなく、実践的なトレーニングを通して身につけることを重視しています。 そのために、以下の3つのアプローチを取り入れた9種類のアプリを開発しました。
「どれから始めたらいいかわからない」という方は、以下のステップで進めることをおすすめします。
まずは、アルファベットとは異なる独特な記号の形に慣れましょう。 アプリ①「クイズ1」やアプリ④「カルタ1」を使って、主要な母音・子音の形と名称(「シュワー」「アッシュ」など)を覚えます。 最初は完璧を目指さず、「見たことある」状態にするだけで十分です。
形を覚えたら、次は実際の「音」と結びつけます。 アプリ②「クイズ2」では、ネイティブの音声を聞いて記号を選びます。 自分の想像していた音と、実際の音にズレがないか確認しましょう。特に母音の微妙な違い(short o と long o など)は、解説動画も併せて確認すると効果的です。
記号単体ではなく、実際の単語の中でどう使われているかを学びます。 アプリ⑥〜⑨の「カルタシリーズ」を使います。 例えば "apple" という単語を見た時に、先頭の "a" が "æ" (アッシュ)の発音であることを認識できるようにします。 これができるようになると、初見の単語でも辞書の発音記号を見るだけで正しく発音できるようになります。
一通り学習したら、アプリ③「クイズ3」を使って、苦手な記号だけを集中的に復習します。 定期的にメンテナンスを行うことで、長期記憶として定着させることができます。
「単語帳も覚えた、文法も完璧だ。TOEICの点数も悪くない。でも、ネイティブの会話が全く聞き取れない…」
多くの日本人英語学習者が、この「見えない壁」にぶつかります。ニュース英語ならなんとなく理解できても、映画やドラマ、日常会話になると手も足も出ない。自分の話す英語が「Pardon?」と聞き返される。この悔しい経験の原因は、あなたの努力不足ではありません。「音の認識」のズレにあります。
日本の英語教育では、長らく「読み書き」が重視されてきました。単語を覚えるとき、私たちは無意識に「スペル」と「日本語訳」、そして「カタカナ発音」をセットで記憶します。例えば "Apple" を「アップル」、"Girl" を「ガール」と覚えます。しかし、実際の英語の音は「アップル」でも「ガール」でもありません。脳内にインプットされた「カタカナの音」と、耳から入ってくる「実際の英語の音」が一致しないため、脳が「知らない単語」として処理してしまうのです。これが、リスニングができない最大の理由です。
日本語は「母音中心」の言語です。基本的にすべての子音に母音がつきます(ka, ki, ku...)。一方、英語は「子音中心」の言語であり、子音だけで音が成立します。また、日本語の母音は「あいうえお」の5つしかありませんが、英語には20以上もの母音が存在します。
この圧倒的な音の種類の差を、たった5つの母音と限られた子音のカタカナで代用しようとすること自体に無理があります。
そこで登場するのが「フォニックス」です。フォニックスとは、「スペル(綴り)」と「発音」の間にある法則を学ぶ学習法です。英語圏の子供たちは、これを使って読み書きを覚えます。
例えば、「a」は「ア」、「b」は「ブ」、「c」は「ク」といったように、アルファベットごとの「音」を覚えます。さらに、「マジックe(サイレントe)」のようなルール(例:kit → kite で i の読み方が変わる)を学ぶことで、初見の単語でも、スペルを見ればある程度どのように発音するかが推測できるようになります。フォニックスを学ぶことで、丸暗記に頼らずに英単語を読めるようになり、スペルミスも激減します。
フォニックスは非常に強力なツールですが、万能ではありません。英語には「例外」が山ほどあるからです。 例えば、"read" は「リード(読む)」とも「レッド(読んだ)」とも読みますが、スペルは同じです。"ough" という綴りは、"though", "through", "thought", "rough" などで全く違う音になります。
ここで必要になるのが、発音記号 (IPA: International Phonetic Alphabet) です。 発音記号は、「一つの記号が一つの音」に完全に対応しています。例外はありません。辞書を引いて発音記号を見れば、その単語が世界中の誰にとっても「どう発音されるべきか」が100%正確にわかります。
いわば、フォニックスが「推測のためのツール」なら、発音記号は「正解を確認するための地図」です。この地図さえ読めれば、あなたはもう発音で迷子になることはありません。
IPAを学ぶことで、日本語にはない「未知の音」を明確に認識できるようになります。
日本人の永遠の課題と言われるRとL。IPAでは /r/ と /l/ です。 /l/ は舌先を上の歯茎にしっかりつけますが、/r/ は舌をどこにもつけません。この「舌の位置」という物理的な動作を理解し、記号とリンクさせることで、劇的に改善します。
"Thank you" や "This" で使われる音です。日本語の「サ行」や「ザ行」とは全く違います。舌先を上下の歯で軽く挟んで息を出す。この独特の動作を記号 /θ/ を見た瞬間に再現できるようにトレーニングします。
「ア」に聞こえる音だけでも、英語には複数あります。
理論はわかっても、実際に身につけるのは大変です。記号を丸暗記するのは退屈ですし、すぐに忘れてしまいます。 そこで開発されたのが、この Phonics Home のアプリ群です。
私たちの脳は、「視覚(文字・記号)」「聴覚(音声)」「意味(名称・概念)」をセットにした時に、最も効率よく学習します。
「勉強」と思わずに、ゲームとして楽しんでください。ハイスコアを目指して指を動かしているうちに、いつの間にか発音記号が「読める」ようになっているはずです。
発音記号をマスターすることは、自転車に乗れるようになるのと似ています。最初は難しく感じるかもしれませんが、一度身につければ一生忘れません。そして、そのスキルはあなたの英語学習の全てを加速させます。
辞書の発音記号を見て、その音が頭の中で再生されるようになった時、あなたの英語の世界は劇的に広がります。映画のセリフがクリアに聞こえ、自分の言葉が相手にスッと届く快感。その第一歩を、今日ここから踏み出しましょう。